初心者でも分かる!ピアノ譜(楽譜)の読み方
趣味でピアノを始めてみたものの、楽譜の読み方が分からず苦労していませんか?この記事はそんなあなたに向けて書かれた記事です。
ピアノ初心者にとって、楽譜を読むことは一見難しそうに見えるかもしれません。しかし、楽譜の読み方は小学校でも習うくらい簡単なものなので、誰にだって理解することができます。
今回は楽譜が読めないというかたに向けて、ピアノ譜の読み方をまとめました。
ピアノ譜の読み方
ピアノは五線譜を2段重ねにした大譜表が使用されます。大譜表の上段にはト音記号、下段にはヘ音記号を付けることが多く、上段は右手、下段は左手で演奏します。
音符は五線譜の上方に配置されるほど高い音になり、下方に配置されるほど低い音になります。楽譜内にある縦線は小節線といい、小節を区切るための線です。
大譜表の読み方
大譜表は五線譜を2段重ねにすると言いましたが、同じ五線譜をただ2段重ねにしているわけではありません。ト音記号が付いた上段とへ音記号が付いた下段では楽譜の読み方が違います。
まずはト音記号が付いた上段から見ていきましょう。
上段の五線は下から順番に「ミソシレファ」となり、中心の「ド」は五線の下に加線を1本追加した位置になります。
次にヘ音記号が付いた下段を見てみましょう。
下段の五線は下から順番に「ソシレファラ」となり、中心の「ド」は五線の上に加線を1本追加した位置になります。
最後に五線譜上段と下段を鍵盤に合わせてみましょう。
こうやって見ると、五線譜上段は鍵盤の上半分、下段は鍵盤の下半分を担当しているのが分かります。そして、大譜表の中心に位置する「ド」は、鍵盤上でも真ん中にあります。
音符/休符の長さ
音の長さは音符と休符を使って表します。音符/休符の種類は以下の通りです。
付点音符と付点休符
音符や休符の横には小さな点が付くことがあります。音符に点が付いたものを付点音符といい、休符に点が付いたものを付点休符といいます。
付点が付けられた音符や休符は、通常の長さの1.5倍になります。
連符
音符の上に数字を添えたものを連符といいます。連符には3連符や5連符、9連符などがありますが、今回は連符の中でも一番使用頻度が多い3連符を例に説明します。
3連符は1つの音符を均等に3等分したものです。全音符ならば2分音符が3つ、4分音符ならば8分音符が3つといった感じになります。
拍子記号
拍子記号とは、ト音記号やヘ音記号の横などに書かれる数字や記号のことです。音楽は楽曲によって拍子が異なり、拍子記号で何拍子かを判断します。
拍子記号にはいくつか種類がありますが、主な拍子記号は以下の6つです。
拍子記号の見方
分数表記の場合は分母が音符の種類を示し、分子が1小節内の音符の数(拍子)を表します。
記号表記の場合は分数表記に置き換えて考えましょう。
調号
調号とは楽曲の調性を示す記号で、ト音記号やヘ音記号の横などに♯や♭を付けて表現します。1つの調号には長調と短調の2種類あり、必ずどちらかの調に当てはまります。
調号は長調と短調合わせて30種類あり、転調しない限り、最後までその調を維持します。
臨時記号
#や♭は曲の途中にも入ることがあります。これを臨時記号と言います。
臨時記号には5つの種類があります。
臨時記号の効力は、付いた音符からその小節の最後まで有効になります。ただし、臨機記号の付いた音符がタイで次の小節へまたぐ場合は、その音符まで効力が持続します。
ちなみに、小節内で臨時記号を解除したいときは、解除したい音符にナチュラルを付けます。
●臨時記号で注意すること
臨時記号は調号とは違い、同じ高さの音のみに有効です。オクターブ違いの音には付かないので注意しよう。
演奏記号
音符から得られる情報は高さや長さだけではありません。黒点や線などを音符に付けることで、通常の音符よりも短く切って演奏したり、音符同士を繋げて演奏したりします。
スタッカート
スタッカートは音符の上下どちらかに黒点を付けます。スタッカートになった音符は、通常の音符よりも短く切って演奏します。
スタッカーティシモ
スタッカーティシモは音符の上下どちらかにくさび形の記号を付けます。スタッカーティシモになった音符は、スタッカートよりも短く切って演奏します。
テヌート
テヌートは音符の上下どちらかに線を付けます。テヌートになった音符は、音の長さを十分に保って演奏します。
アクセント
アクセントは音符の上下どちらかに”>”を付けます。アクセントが付けられた音符は、付いていない音符よりも強く演奏します。
タイ
タイは同じ高さの音符同士を弧線で繋げます。タイで繋がれた音符はひとつの音符のように繋げて弾きます。見た目が似た記号を使うスラーとは間違えないようにしましょう。
スラー
スラーはいくつかの音符を弧線でくくります。音符同士を繋ぐタイと似ていますが、こちらは音と音を切らずになめらかに演奏するための記号です。
トレモロ
トレモロは音符に斜線を加えます。斜線の本数は音符の種類を表し、1本ならば8分音符、2本ならば16分音符の長さで音符を反復させます。
トレモロの奏法を楽譜で表すと、以下のようになります。
グリッサンド
グリッサンドは白鍵もしくは黒鍵を滑らせながら演奏する奏法です。楽譜上には音符と音符を斜めの波線で繋ぎ、glissという文字を添えます。
グリッサンドが付けられた音符は、2音の間の音も経過音として演奏します。「ド」から「ド」へグリッサンドするならば、白鍵でドレミファソラシドを滑らせながら演奏する感じです。
フェルマータ
フェルマータは音符や休符の上または下に付けます。フェルマータが付けられた音は、通常の長さよりも2~3倍長く演奏します。
オクターブ記号
オクターブ記号は音符の上もしくは下に8vaや8baを付けます。8vaが付けられた音符は1オクターブ上を演奏し、8baが付けられた音符は1オクターブ下を演奏します。
8vaや8baは数字だけ取って、8と表記することもあります。
アルペッジョ
アルペッジョは和音にアルペッジョ記号を付けます。アルペッジョ記号が付けられた和音は、同時に打鍵するのではなく、低い音から順番に弾いていきます。
ちなみに、アルペッジョ記号に矢印が付いている場合は、矢印の方向に弾きます。
レフトハンド/ライトハンド
レフトハンド(L.H.)は左手、ライトハンド(R.H.)は右手で弾く記号です。通常ピアノの大譜表では、上段を右手、下段を左手で演奏します。
しかし、前後の音の関係で演奏しづらい時は、記号を使って演奏する手を切り替えます。
ペダル記号
ペダル記号には2種類あります。赤枠がペダルを踏む記号で、青枠がペダルを離す記号です。
強弱記号
楽器の演奏表現のひとつに音の抑揚があります。音の抑揚は音符の下に強弱記号を記載します。
よく使われる強弱記号は以下の8つです。下に行くほど強く弾きます。
ちなみに、徐々に変化させる記号として、クレッシェンドとデクレッシェンドがあります。
速度記号
楽曲のテンポは数字や速度記号で記載します。
速度記号は数が多いので、今回はメジャーなものだけを載せました。速度記号のテンポは明確に決まっていないので、以下の数字は目安と思ってください。
発想記号
発想記号とは、演奏者に曲のイメージを伝えるために使用されます。発想記号の記載場所は速度記号と同じように、小節の上に書かれることが多いです。
発想記号の数も非常に多いので、こちらもメジャーなものだけを載せました。
反復記号
楽譜を繰り返し演奏する記号として反復記号があります。反復記号にはダ・カーポやリピート記号、ダル・セーニョなどが数種類あるので、1つずつ違いを見ていきましょう。
リピート記号
下図の赤枠をリピート記号といいます。リピート記号には右端タイプと左端タイプがあり、右端タイプから左端タイプへ一度だけ戻って演奏します。
1カッコ、2カッコ
カッコはリピート記号とセットで使われます。1カッコは1回目だけ、2カッコは2回目だけ演奏します。
ダル・セーニョ(D.S.)
D.S.はダル・セーニョといい、セーニョマークがあるところまで戻って演奏する記号です。
ダ・カーポ(D.C.)
D.C.はダ・カーポといい、曲の先頭まで戻って演奏する記号です。今回は反復中に曲の終わりを示すFineがあるので、この位置まで演奏します。
Fineは複縦線の上にフェルマータを書いて表現することもあります。
コーダとトゥ・コーダ
赤枠はトゥ・コーダ、青枠はコーダと言います。D.S.やD.Cなどで同じ小節を繰り返し演奏しているときにトゥ・コーダがあればコーダがあるところまで飛んで演奏します。
まとめ
今回はピアノで使用される五線譜の読み方を説明しました。五線譜には演奏記号や強弱記号、反復記号など数多くの記号を使用するため、初めは覚えるのに苦労するかもしれません。
しかし、五線譜の読み方をマスターすれば、他楽器の譜読みにも役立ちます。五線譜は楽譜の基本なので、1つずつ覚えていきましょう。